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振り向けば…
第27章 重く低い声…
それがまるごと消えたとか私はびっくりして
「私のアイスキャンデーを知りませんか?」
と宮崎さんに聞いた。
宮崎さんは私の言葉に青い顔をして
「森本さんのやったんか!?」
と叫んでくれた。
そのアイスキャンデーも現場から誰かが貰ろうて来たのだろうと勘違いをした社長さんが事務員さん達に配ってしまったと宮崎さんが言う。
翌日には社長さんが私に平謝りをした挙げ句にアイスキャンデー屋さんの場所を聞き、全種類を30本近く買うて来て
「森本さんが買うたやつだけ抜いてくれ。」
と私のアイスキャンデーの保証をしてくれた。
そして残りは全て事務員のおばさん達の胃袋に消えた事実を私は密かに知っている。
だからこそ…。
「またですか?」
呆れて宮崎さんに言うしかない。
「事務のおばちゃん達がへそ曲げたら社長は仕事が出来なくなるからな。」
宮崎さんがため息をつく。
至れり尽くせりの会社は事務員のおばさん達が原因なのだと悟る事になった。
しばらくは順調な日々。
水分補給にも慣れて来ると私には長いだけの1日が続く感じがする。
後一週間…。
後3日…。
明日…。
頭の中で必死にカウントを繰り返す。
「悠真!」
休日の前日から悠真の家に行く。
「明日のライブやろ?」
悠真がニヤリとする。
久しぶりのライブ…。
ワクワクとして眠れない。
フェスだから出番は少ないけど、ノリノリになるのは間違いない。
だから期待をして眠れない。
いい加減に眠らなくては…。
そう思い悠真の寝室を覗いてみる。
「悠真…?」
そこには悠真の姿がない。
きっと悠真も眠れないんだと思うて仕事部屋を覗く。