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振り向けば…
第27章 重く低い声…
悠真…。
かなり怖い顔をしてパソコンの画面を睨み付ける悠真が見える。
もしかして仕事中か?
本当はライブになんか行く暇なんかないのかもしれないと思うと声が掛けられない。
ねぇ、悠真…。
本当の事を教えてよ。
私はやっぱり悠真にとって邪魔な存在なの?
私にとって悠真は邪魔な存在なの?
1人のベッドで踞り悠真の代わりに不安を抱きしめて眠るしか出来なかった。
翌日の朝はご機嫌の悠真。
いつもの様に私が作る卵焼きを嬉しそうに頬張る。
「夕べ…、仕事やったんか?」
「ん?」
「仕事部屋に居たやん。」
「ああ、手直しの注文があったからちゃっちゃと終わらせただけや。」
「そうなん?」
「当たり前やんけ。仕事の事を考えながらライブに行ったかて仕事が気になってライブに集中出来へんようになるだけや。なら、さっさと終わらせる方がええに決まっとる。」
余裕の顔でそんな事を言う悠真に少しホッとする。
「無理はしなや。」
「俺は来夢と違うてマイペースです。」
それはそうだと思う。
時間よりも早めに悠真とライブに向かう。
当初はグズついたお天気…。
中止になったらどうしようと狼狽える。
今日はフェス2日目。
2日間で42組のアーチストが参加したフェス…。
名前も知らないようなアーチストも居たのは事実だけどもお目当てのバンドが出て来た瞬間には会場が一気に熱気を帯びる。
しかもお天気までもが味方したかのように青空が見えて来る。
「水分補給を忘れずに…。」
ボーカルがそんなMCを入れて来る。
「それだけは大丈夫…。」
と一度熱中症を経験済みの私が呟く。
悠真はそんな私の言葉にクスクスと笑ってた。