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振り向けば…
第28章 シンデレラ…
私はその子と変わらないレベルに格下げされたのだと悟るのに、さほどの時間の必要はない。
「ゆう…。」
涙が出た。
謝らなければ…。
謝ったくらいで悠真が許す男?
歴代彼女は謝ったくらいでは許されずに捨てられた。
私は?
まだ家族…?
震える手で悠真の仕事部屋の扉を開く。
「悠真…。」
「どうした?」
相変わらずパソコン画面を眺めたままの悠真が私の顔を見ずに聞いて来る。
「ごめんなさい…。」
「何が?」
ぶっきらぼうな言い方…。
「同窓会の時…。」
そこまで言うと息が詰まる。
私の目から大粒の涙が流れ出す。
やっと悠真が顔を上げて私を見る。
「泣くくらいなら2度とすんな。」
「ごめんなさい…。」
よほど悠真からすれば頭に来たのだと思う。
その夜は既にお金持ちのはずの航大に社長になったのなら奢れと言われて飲みに行く羽目になった悠真…。
しかも全く付き合いのなかった男子も何人か付いて来たと悠真がボヤく。
「美保みたいな奴がまた押し掛けて来たら来夢かて気分が悪いやろ?」
悠真が私を叱る。
私が調子に乗って周囲の人達に悠真を自慢すればするほど悠真に迷惑をかける事になる事実なんか考えてもみなかった。
「ご…めん…。」
泣くしか出来なくて悔しかった。
未だに私は子供のままで悠真は遥かに大人だ。
「おいで…。」
悠真が私に手を差し伸べる。
それはいつもの悠真の手…。
泣けば許される私…。
だけど泣いて許されるだけの女にはなりたくない。
悠真が諦めたように私を抱っこする。
私は子供扱い…。
初めて本気の悠真に叱られた。
それがショックで堪らない。
「次からは気を付ける。」
何度もそう言うて自分に言い聞かせた。