この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第28章 シンデレラ…
その後はしばらく悠真の家には近寄らない。
〆切りが終わるまでは私は悠真の仕事の邪魔になるだけだと思う。
その代わりに木村さんや内海さんとお茶をする。
「相変わらずの委員長やったわ。」
木村さんがため息をつく。
仕切り屋の委員長…。
2次会のカラオケは委員長の仕切りで始まり仕切りで終わったと嘆く。
男子は半分しか来なくて女子ばかりのカラオケだったらしい…。
「男子の方が結婚率が高いってどうゆう事!?」
そんな話題で盛り上がる。
「女子は自立を目指す人が多いからじゃない?」
「森本さんもそういうタイプ?」
「私は男運がないだけだよ。」
「今田君をキープしてるからでしょ?」
「キープはしてないよ。」
初めて悠真のお父さんの話を木村さん達に説明する。
「知らんかった。ごめんね。」
内海さんが謝って来る。
「内海さんが謝る事じゃないよ。」
「でも今田君ってそんなに苦労してたんだ。」
「うん…。」
やりたい事をやれなかった学生時代。
私も悠真もそんな学生時代だったから今はやりたい事をやろうとする意識が強い。
「木村さんはどうなの?」
「会社の上司にアピールされるんだけどね…。なんとなく頼りないタイプの人なんよ。私の後に入社だけど大卒だから上司って人なの。でも頼りないわぁ。」
「大卒?なら出世頭なんだから、そこは母性本能で我慢していっちゃえ。」
「やだよー。」
本当の女子会に盛り上がる。
「いつか、自分に相応しい人が見つかるかな?」
最後に内海さんが寂しく笑う。
「見つかるはずだよ。そう思わないとやってられないもん。」
何故か私が内海さんを励ます。
「森本さんもやっぱり随分と変わったよね。」
内弁慶で大人しいだけの優等生を辞めた私を木村さんが笑う。
見た目よりも中身が私の場合は変わったのだと感じる1日だった。