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振り向けば…
第28章 シンデレラ…



ただドキドキする。

普通に恋人なら間違いなくイチコロだと思う。

素敵なフルコースにシャンパン…。

見事な夜景…。

この状況で口説かれたら絶対に拒否なんか出来そうにない。

いつもの3倍は悠真がカッコよく見える。


「泊まるの?」

「当然やろ?」


悠真は涼しい顔のまま…。

恋人を作る気のない悠真が私を恋人代わりに扱う時間がやって来る。


「なぁ…、来夢…。」


切羽詰まった悠真の声…。

もしかしたら悠真が私を恋人として告白する?

緊張する…。

お酒に弱い私はシャンパンで既にクラクラしてる。


「なぁに?」


わざとらしく可愛く聞き返す。


「アイス…、溶けてるぞ。食われへんねやったら俺が食うたる。」


デザートを綺麗に完食した悠真が私のデザートのお皿を指差してそう言うた。


「食えや!」


甘党の悠真に皿を突き出してやる。


「サンキュー!」


子供みたいな顔でデザートにがっつく悠真。

ムードってものには一切流されない鉄壁の男。

アホたれ!

ただムカつくだけだった。

食事の後はふてくされて悠真とエレベーターに乗り込む。


「何を怒ってんねん?」

「別に!」


どうせどんなにお洒落をしても中身は私ですから…。

どうせどんなにカッコよく見えても悠真ですから…。

淡い期待はするべきじゃない。


「機嫌直せや。」


そう言うて悠真が私を連れて行く部屋で目を見張る私が居る。


「この部屋…。」


スィートルームだと思う。

奥の壁、一面に夜景が広がる部屋。

高級そうなソファーにテーブル。

寝室は別室。

お風呂はジャグジーに薔薇の花びらまでが浮かんでるとかテレビでしか見た事ない。


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