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振り向けば…
第29章 激甘なのに…
今の悠真に聞いても、きっとはぐらかして答えてはくれないとだけはわかっとる。
だから今は寂しくても今のままで居るしかないのだと我慢をする。
「マジに美味い。」
悠真がラーメンを気に入ってくれたらしい。
「やろ?現場の職人さんって意外とグルメやで。」
「弁当を食うてるイメージしかないわ。」
「それは春とか秋だけやな。」
夏はあまりの灼熱にお弁当が腐る危険がある。
冬は冷たいお弁当よりも温かいものを食べたくなる。
だから現場の近所で少しでも安くて美味しいものを職人さん達は見つけては情報交換をする。
「この後はどうする?」
悠真が聞いて来る。
「疲れたからチーズケーキを買うて帰って、ゆっくりとお茶とかしたい。」
「わかった。」
ラーメンでお腹が膨れた私は欠伸が出る。
悠真は眠くないのだろうか?
平然と車を運転する悠真を眺める。
「なんや?」
「悠真は疲れてないんか?」
「来夢さんとは基礎体力が違いますから。」
あ…。
ムカつく…。
こう見えてもガテン系姉ちゃんやぞ。
そう言い返す前に車の暖房が気持ち良くて悠真の家に着くまで眠ってた。
「来夢…。」
悠真が私を揺り起こす。
「ん…。」
「そんなに疲れたなら家まで送ったろか?来夢は明日からも仕事やろ?」
悠真とは居たい。
だけど私の身体が言う事を聞いてくれない。
「うん…、ごめん。帰って寝る。」
「わかった。」
悠真が私を家まで送ってくれる。
「しっかりと寝て風邪とか引くなよ。」
「うん…。」
悠真が運転する車から降りてフラフラのまま自宅のベッドに横たわる。
幸せだったクリスマスはなんだかボロボロになって終わりを告げた。