この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第30章 神様…
契約があれば悠真の仕事が安定する。
「もし俺が東京に行ったら、新幹線で通えや。」
悠真がからかうように私に言う。
「行かへんわ。面倒臭い。」
「来夢が居らんと飯に困るやんけ。」
だったら最初からそういう話を私にはちゃんとしろ。
膨れっ面になる私を悠真が笑う。
「ない話をしても仕方がないやろ?」
始めっから東京に行くつもりのない悠真…。
だったら神様にちゃんとお願いすれば良かったと後悔をする。
今年も悠真と居られますように…。
そんな初詣を終えて悠真の家に帰る。
「なんで、こっちの家やねん。」
明日の朝は我が家でお節料理とお雑煮という朝ご飯を家族揃って食べるのが我が家の決まり事。
「あー…、あんな…。東京に行ってたせいで実は大掃除とかしてないねん。」
悠真が情けない顔を私に向ける。
「ひぃぃぃ!?」
洗濯機の前には山積みの洗濯物。
台所やリビングのテーブルに散らかるグラスやコーヒーカップに悲鳴を上げる事になる。
「ゆうーまぁぁぁぁあ!」
「ごめんなさい、すみません。俺も手伝いますから掃除と洗濯だけをなんとかして下さい。」
「やかましい!」
何が悲しくてお正月の始まる深夜に洗濯と洗い物をする羽目になるのだかとか考える。
「来夢にはちゃんと誕生日プレゼントを用意したんやから、そんなにキレんなよ。」
とりあえず洗い物を済ませて食器乾燥機にグラスなどを入れ終えた私に悠真が紙袋を差し出して来る。
誕生日プレゼント…。
誕生日は終わったのに?
少しだけ嬉しくて、その紙袋を受け取った。
「ありがとう。」
「いーえ…。」
ここまでは良い話に聞こえるはず…。