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振り向けば…
第30章 神様…
ゼネコンならば現場に必要な資格取得には協力的だと聞いた事がある。
私の場合は暇だからと大学でほとんど取ったから会社の協力は必要がなかった。
「よろしくお願いします。」
岩谷 智(さとし)さん…。
もう30歳だと言う。
資格取得が出来ない人はゼネコンのような大手で肩身が狭くなる年齢。
そんな人の同期入社は高校を卒業したばかりの若い男の子。
佐久間 修斗(しゅうと)君…。
今年19歳になるという、まだ子供のような男の子。
岩谷さんは大人しくて真面目な人。
対する修斗君は
「森本さんも飲みに行きましょうよ?」
と言うてはやたらと社員さん達と遊びに行きたがるタイプの子…。
「佐久間君、未成年だから嫌だ。」
「なんですか?」
「万が一、飲ませたら飲ませた方の責任になるの。」
「じゃあ、飲まないから飯に行きましょうよ?」
「今日は先約があるからまたね。」
「彼氏ですか?」
人懐っこく詮索が好きな修斗君。
「また来週…。」
そう言うて修斗君を突き放すようにして会社を出る。
今週は悠真と京都の嵐山に行く予定だから新人と遊んでる場合じゃない。
いわゆるゴールデンウィークの始まり。
今年の私は現場の関係で飛び石連休になるからと悠真と近場で色々な場所に行こうと約束をしてる。
その手始めが京都の嵐山だ。
「悠真?」
悠真の家に入ると悠真がリビングのソファーで死体のように転がる姿が目に入る。
「来夢…。」
「なんや?」
「腹減った…。」
お前は二言目にはそれしか言わんのか?
そう言うてやりたくなる。
「今すぐ作ったるから。」
「あざーすっ…。」
相変わらずの関係。
だけど京都では悠真が私に至れり尽くせりをするのだから文句は言わない。