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振り向けば…
第32章 その弁当が…
私の現場では搬入作業をこの2日間の間にやらなければならない状況だ。
搬入作業とは…。
例えばマンションの建築する場合、家の戸数分のユニットバスを搬入する。
それはメーカーからの搬入で60世帯分なら60個のユニットバスを各部屋に搬入して配置だけするという作業になる。
ただし、あくまでも設置するだけの作業であり水道管に繋ぐジョイント作業などはあくまでも連休明けという仕事だから搬入作業が済めば現場でやる事は無くなり暇になる。
「もう終わりですか?」
夕方前に終わる現場に修斗君が聞いて来る。
今は見習いだから岩谷さんが宮崎さんに、修斗君が私に付いて現場を回ってる感じになる。
「うん、終わり。後は会社で報告書を出したら帰れるから今日は早く帰れるよ。」
「やった!なら飲みに行きましょうよ。」
「だから行かないっつうの。」
「森本さん、付き合い悪いっすね。」
今日日、上司が部下を勤務時間外に誘うのはパワハラだと言われるのに、修斗君は付き合いが悪い上司だと私に言うて来る子だ。
「修斗君が20歳になったら連れてってあげるよ。」
まだ自分の車すらなく、私の車に乗って現場に行く修斗君に苦笑いする。
「絶対ですよ。」
そんな事を言う修斗君は報告書を出すと他の工事部の人と飲みに行く。
人付き合いが苦手な私は駐車場に真っ直ぐ向かう。
そもそも車通勤の私を飲みに誘うのが間違いだと会社の人達は納得をしてくれてる。
ふと見た会社の駐車場に岩谷さんの姿がある。
岩谷さんも車通勤の人だから…。
「岩谷さん!」
「お疲れ様でした。」
私が上司だとばかりに岩谷さんが丁寧に頭を下げて来た。