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振り向けば…
第4章 笑ろたれや…



中2の思い出はその程度…。

夏休みが終わった途端に悠真とはまた話をしなくなる学校生活が始まる。


「ねえねえ、あの2人…、付き合ってるんだよ。」

「内海さんから告白したらしいよ。」

「キャーっ!」


横綱親衛隊が渡り廊下を歩く高橋君と内海さんを指差しながらキャーキャーと黄色い声を出す。

私の時は壁ドンの尋問やったのに?

世の中の理不尽を初めて理解した。

悠真とは口をきかないが悠真のお弁当を私が作るようになった。

朝に登校する前にアパートの悠真の家のドアノブに紙袋に入れた弁当箱を置いておく。

部活が終わってから帰るとうちのドアノブにその紙袋が返却される。

たまにメールで


『今日のハンバーグが硬かった。』


とか


『卵焼きが辛いぞ。』


と文句だけがやって来る。

お金を出すと言うと嫌がる悠真は文句を言いながらもお弁当だけは全部綺麗に食べてくれる。

こんなやり方で悠真と対等を示すという事を覚えた。

中3になり、内海さんと同じクラスになった。

その頃には内海さんは高橋君と別れたという噂だけは聞いた。

悠真と高橋君は隣りのクラス…。

肉屋も私と同じクラス…。

やたらと肉屋が私に話し掛けて来る毎日。

適当にしか話をしない。

ある体育の授業の時、男子はサッカー、女子はテニスと言われてグランドに出た。

3年生の体育はいい加減な授業。

受験に向けて勉強勉強の毎日だから体育は息抜き程度という感じだ。


「ねぇ、ちょっと…。」

「嘘っ?あれって今田君?」

「高橋君よりも上手くない?」


内海さんを中心に女子がキャーキャーと言い出した。


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