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振り向けば…
第4章 笑ろたれや…
サッカーのグランドで何故か悠真がボールを蹴っているのが見えた。
サッカー部の高橋君に勝てる訳がないやん?
そう思うてたのに…。
悠真の前に来た高橋君を軽々と避けてゴールにボールをシュートする悠真が居た。
「キャーっ!」
女子の甲高い声が嫌だと思うた。
そんなにサッカーが上手かったなら、パソコン部じゃなくサッカー部に行けば良かったのに…。
やっぱり悠真ってアホの子や。
私の目にはそう見える。
今、考えるとアパートの管理をしたり、働く悠真のお母さんの為に家の事をする必要がある悠真は部活時間が出来るだけ少ない部活を選んだのだと思う。
当時の私にはひたすら悠真はアホだとしか感じないから他の女子のように悠真に対してキャーキャーとか言う気にはならなかった。
その3日後、内海さんが泣いてるのを見る。
「受け取れないって言われたの…。」
内海さんを取り囲んで慰める女子達に内海さんが泣きながら訴える。
悠真に内海さんがお弁当を作ったらしい。
悠真はそれを要らないと拒否した。
悠真が理解出来なかった。
内海さんと付き合って胸を揉みたいとか言うてたくせに、たかがお弁当で内海さんを拒否する悠真がアホに見える。
悠真にメールをする。
『なんで内海さんのお弁当を断った?』
『弁当を2つも食われへん。』
そんな単純な答えだけが返って来た。
しばらくは何事もなかった。
なかったはずなのに…。
部活を終えて家に帰ると真っ暗なダイニングのテーブルにお母さんが頭を抱えて座ってる。
絞り出すような声で
「来夢…、話があんねん。」
とか言うて来る。