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振り向けば…
第34章 えへへ…
維新の際、取り壊しになるはずだったお城なのに、その取り壊し費用がないからと運良く残った数少ない現存のお城。
大戦時の戦火も逃れた建物に夢中になる私を悠真が呆れた顔で眺めてる。
「何が楽しいのかさっぱりわからん。」
そんな言い方をするくせに私が好きだからとお寺やお城には必ず連れて来てくれる悠真。
私には悠真がわからんわ。
そう言い返す前に雨が降って来た。
「お弁当…、無理かな…。」
また悲しくなって来る。
「あー…、ちょっと予定変更や。」
そない言うて悠真が車を走らせる。
予定では遊園地とサファリパークがあるアミューズメントに行くはずだった。
なのに悠真は山の手へと向かう。
「サーキット?」
悠真が向かったのは車やバイクのレースなどに使われるサーキット。
「多分…、大丈夫やと思う。この前、知り合いがここでレースをやる言うてたからな。」
悠真が車を降りてサーキットの入場口へと歩き出す。
知り合い?
レース?
意味がわからない。
黙ったまま悠真について行くと入場料を払い悠真がサーキットの中へと向かう。
客席にはパラパラと人が居る。
確かに車のレースのようなものが行われてる。
「ちょっとだけ待っとけ。」
そう言うて悠真がどこかへと居なくなる。
客席には屋根があるから雨でも確かにお弁当を食べる事が出来るとか考える。
しばらくして悠真が戻って来たから2人でお弁当を広げて食べる事にした。
お弁当を食べなから車が走るサーキットを眺めるだけの状況に何を話して良いのかわからなくなる。
多分、レースなのだろうけど先頭がどの車なのかすらわからない。