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振り向けば…
第34章 えへへ…
お弁当を食べ終わると相馬さんが関係者だけが入れる場所へと私と悠真を案内してくれる。
ピットと呼ばれるレースのチームの人だけが入れる特別な場所。
レースを終えた車がその場所に帰って来るとエンジンの具合やタイヤの状況を見て次のレースの準備をするのだと相馬さんが教えてくれる。
「僕のセールスに今田さんだけが、うん言うてくれないんですよ。」
相馬さんが私に嘆く。
「社長さんのところの車は高級車ばかりやから。」
「だから今田さんの好みを言うてくれたら、それを輸入しますから…。」
「俺は必要ないんです。」
相馬さんは悠真に車を買わせたいらしい。
「生活で使わなくても、ラリーとかやればええやないですか。」
「ラリーとか普通の人はやりません。社長さんがマニア過ぎるんですよ。」
相馬さんの言葉に私だけが興味を示す。
「ラリー?」
「を?彼女の方は興味がある?」
相馬さんが今度は私に食いついて来る。
「高級車を買うのは無理ですよ。ラリーは1度くらいは生で観たいとは思うてます。」
「なら、年末に特等席を用意するから今田さんと一緒においでや。」
相馬さんがそんな話をする。
適当に相馬さんと車の話をしてから悠真と客席へと戻る。
「来夢はエンジンが付いたものが好きやな…。」
悠真が呆れた顔をする。
女の子らしくないからか?
「ええやん。車とかバイクとか面白そうやし。」
「おもろいやろうけど、よほどの金持ちやないと、こんなレースとか趣味で出来んぞ。」
「相馬さんって金持ちなん?」
「そりゃ、そうや。相馬社長は相馬グループの1人やからな。」
悠真の言葉に固まった。