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振り向けば…
第34章 えへへ…



「凄いで、悠真!檜皮葺きの屋根やで!」

「何が凄いねん…。」

「檜皮葺きの屋根って文化財くらいでしか見られへんねんぞ。」

「お前の興味はそこか…。」


建築に夢中な私を悠真が呆れた顔で見る。


「草餅を食いに行くぞ。」


そない言うて無理矢理に私をお寺から連れ出さないと私がいつまでもお寺に張り付くと悠真が言う。


「悠真は花より団子やな…。」

「お前も花より建築やんけ。」


ヨモギで作られた草餅は間違いなく美味しかった。


「今の季節が最高に美味いんや。」


甘党の悠真が3つ目の草餅にパクついた。

悠真のお母さんの分と私の家の分もお土産に買う。


「明日から仕事かぁ…。」

「無理だけはすんなよ。」


悠真が私の心配をする。

私はちゃんと悠真の家族で悠真が私を守ろうとしてくれてる立場は変わらない。

それだけでも理解が出来ると私の不安や悲しみが薄れて消えて行く。

私は悠真の傍に居られる。

夕食を食べてから悠真が私を家まで送る。


「来週末は来夢が飯を作ってくれよ。」

「うん…。」


悠真は照れたように笑うとお母さんが居るアパートに向かって歩き出す。

今夜は草餅を食べながら龍平おじさんの話をするのだろうと思う。

ほんの少しでも、悠真が龍平おじさんの事を思い出せたらええなと考える私だった。

連休明けは仕事に集中するだけの私。

五月病なんて言うてたら事故で死人が出たりするのが建築という世界。

お父さんからも


「油断するな。」


と言われた。

連休明けは感覚が鈍ってて事故が起きやすいという。

龍平おじさんも現場の事故で亡くなった。

だから私は気合いを入れる。


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