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振り向けば…
第34章 えへへ…
テキパキと仕事をして報告書を書く私を専務さんが覗き込む。
「張り切って倒れんとってくれよ?」
去年の夏のようになる事を心配する専務さん。
「大丈夫です。」
苦笑いでそう答える。
「これ、お土産。他の人には内緒な。」
専務さんがニヤリと笑って私に北海道のお土産だと生キャラメルや生チョコレートのお土産をくれた。
専務さんは有給をフルに使って大型連休を北海道で楽しんだらしい。
「ありがとうございます。」
私だけにお土産を買うて来てくれた専務さんに頭を下げる。
「皆んなには内緒なんやから、頭とか下げずに早く隠してくれ。」
事務のおばさん達に見つかりたくない専務さん。
有給をフルに使って北海道旅行とか、おばさん達にバレると、また頼りない2代目とか言われると思ってるらしい。
笑いながら専務さんのお土産を自分の車に隠してから私は現場回りの仕事に行く。
そんな日々が過ぎて梅雨になる。
「微妙な天気やのに…。」
「うるさい。」
「わざわざ、朝早よから…。」
「黙れ…。」
「マジで行くんかよ。」
「嫌なら悠真は来るな。」
「行かへんとは言うてない。」
朝早くからお弁当を作る私を見ながら悠真が不機嫌な顔をする。
今日は悠真の誕生日が近い日曜日。
当然、悠真は私に誕生日の祝いをして貰えると思うてたけど私は唯ちゃんの為のお弁当作りに忙しい。
唯ちゃんと約束の動物園に行く。
「小学校の遠足で行った動物園やんけ。」
とにかく悠真が不機嫌だ。
「パンダとコアラが居るからな。」
神戸にある動物園。
パンダは1頭しか居ないらしいが間違いなくそこには存在する。