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振り向けば…
第36章 ええ男やのに…
その後は2人で買い物に出掛ける。
「要するに週末に俺が飯を食いに来たら来夢は好きなように飯が作れるんやろ?」
そない言うて私に好きなだけ食材を買い与える。
だから週末は悠真が私の家に来る事になる。
テレビの音はその週末には静かになり、私はやっと落ち着いた一人暮らしを始める事が出来た。
一人暮らしが落ち着き、仕事も順調だとご機嫌で自分の部屋に帰る。
やっと幸せな一人暮らし…。
自由な私の自由な生活。
悠真も居るから安心だ。
そんな風にご機嫌で自分の部屋の扉の鍵を開けようとして立ち止まる。
ドアノブにコンビニの袋がぶら下がってる。
「何…、これ…?」
ひとまずはそれをドアノブから外して持ち帰る。
部屋に入り、袋の中身を確認する。
何故か丁寧にラップに包まれた手作りっぽいおにぎりが2つ…。
そして1枚のメモ…。
パソコン印刷の文字で
『おかえりなさい。お仕事、ご苦労様でした。』
と書かれてる。
悠真なら、こんな事はしない。
悠真なら私が仕事で大変なら焼肉屋さんやお寿司屋さんに直接私を連れて行く。
なら、誰が?
気持ち悪い…。
そう思うてコンビニの袋ごとゴミ袋に捨てた。
更に3日すると今度はドアノブに小さな紙袋。
なんなんだ!?
中身を見るとまた手紙が付いてる。
『食べ物を粗末にするとか酷いね。今週は生理?使って下さい。』
そんな手紙と未使用の生理用ナプキンが入ってる。
全身に鳥肌が立つ。
私が出したゴミ袋まで確認されてるのだ。
恐怖に身体中が震え出す。
こういう時は必ず悠真に連絡をする約束…。
この約束があって良かったと思う。
もし、無ければ私は完全にパニックになってただろうと自分でわかる。
「悠真っ!」
悠真に電話をして、そう叫ぶだけ…。
『すぐに行くから待ってろ。』
そう言う悠真の声に気持ちが落ち着いて来る。