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振り向けば…
第36章 ええ男やのに…



会社では何事もない。

朝礼をする。

書類を片付ける。


「現場に行って来ます。」


そない言うて会社を出る。

現場でも別に問題はない。

ストーカーというほどストーカーの存在は全く感じる事が無いから、あれは誰か別の人への間違いだったんじゃないかと思いたくなる。

夕方に会社を出て車を駐車場に入れてから悠真を迎えに行く。


「お前…、拓也さんと会うて言うたやろ?」


悠真がクスクスと笑いやがる。


「何があかんの?会社帰りやもん。」


安全マーク入りの作業服を着たままの私は悠真に居直ってやる。


「お洒落せんと拓也さんが逃げ出すぞ。」

「拓也さんとはもう付き合わないもん。」

「ええ男やのに…。」


私が拓也さんと付き合う方が悠真には嬉しい事なのだろうか?

私が拓也さんのところに行っても悠真は寂しくないのだろうか?

悠真と離れたくない私は泣きそうになりながら悠真の隣りで歩き続ける。

悠真のマンションの近所にあるファミレス。

拓也さんとの待ち合わせ場所。

私と悠真がお店に入ると先に拓也さんが来てた。


「お久しぶりですね。」


拓也さんが懐かしそうに並んだ悠真と私を見る。

大学時代はあんなにお互いが睨み合ってたのに今は穏やかな顔でお互いが挨拶をしてる。

男の人って不思議…。

私なら美保と2度と会わないと決めたから美保の連絡先なども完全に削除して、もし街でばったり会うても完全スルーをするつもりなのに…。


「要件は大体わかりました。」


食事をしながら拓也さんが弁護士として話をする。


「必要な経費と弁護士費用は俺が出します。」


悠真が拓也さんに私の弁護士としての依頼をする。


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