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振り向けば…
第36章 ええ男やのに…
「費用などは取るつもりはありませんよ。」
拓也さんが苦笑いをした瞬間…。
「それは弁護士の法律に違反する事になる。」
そう悠真が言い出した。
拓也さんが驚いた顔をする。
「悠真君…、法学部じゃなかったよね?」
「俺も今の立場で一応は弁護士を雇ってますから、けど来夢は人見知りがある。だから弁護士は拓也さんの方がええんです。」
「確かに、そうですね。」
悠真と拓也さんが2人で大人の会話をする。
私だけが子供扱いのままの食事。
「問題は、今の段階じゃ警察は何もしてくれないって事なんですよ。」
拓也さんが難しい顔をする。
「何もして貰えないの?」
不安になる。
だってドラマとかじゃ犯人の遺留品から犯人を特定するじゃない?
「今はまだ来夢に被害が出てないからな。」
悠真がため息をつく。
「私に被害が出てからじゃないと警察は来てくれないの?」
拓也さんと悠真の言葉にどんどんと不安が膨らむから泣きたい気分になって来る。
「一応は警察に僕が知らせて警邏をお願いする事は出来ます。けど、その先は…。」
被害が出てからだと拓也さんが言葉を詰まらせる。
「その先は俺がなんとかしますから。」
悠真がそんな事を言う。
「悠真、その先って…。」
「全く考え無しに拓也さんをわざわざ呼んだわけとちゃうぞ。」
悠真には悠真の考えがあるらしい。
食事が終わりお店を出る時に悠真と拓也さんが支払いで揉める。
「僕が払います。」
「弁護士として雇うた以上はこれは経費やから俺が払います。」
このままじゃお店から出られないと今度は私がため息をつく。