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振り向けば…
第36章 ええ男やのに…



きっと私の為に警察に行ってくれるのだと思う。

悠真も私の為に何かをやってる。

だから変なストーカーに怯えて泣くだけの自分にはなりたくないと思った。

それから2日ほどした私の休日に悠真がうちの玄関で何やらゴソゴソとやっている。


「何しとんねん?」

「カメラ付けとんねん。」

「カメラ?」

「また来夢に変な物を持って来る奴が居たら、これで撮影が出来るから、ストーカーの証拠になる。それなら拓也さんが警察を動かす事が可能になる。」


悠真の話に驚いた。

頭が良いのは知ってたけど…。

そこまでの知識があるとは思うてなかった。


「そのカメラ…、どないしてん?」

「知り合いのテレビクルーの奴に頼んで売って貰ろうた特注品や。」


テレビでストーカーを撮影する為に使うものと同じ隠しカメラだと悠真が言う。

ドアの除穴に1つを設置してからマンションの廊下の電気にも、もう1つを設置する。


「いつから電気工事屋になってん?」

「基礎だけは習ったやんけ。」


建築屋としての知識はまだ悠真の中に残ってる。

一体、どれだけの知識が悠真の中にあるのだろうかと考える。

録画出来るSDが小さいから2日に一度は悠真が取り替えて中身を確認してくれると言う。


「悠真も仕事…、忙しいんやろ?」

「俺は仕事が選べる立場や。」


ただ私の為に笑ってくれる悠真が居る。

だから、ずっと悠真に寄り添いたくなる。


「飯にでも行こうや。ついでに服でも買うたるわ。」

「何の服?」

「お誕生日会に作業服で行くつもりか?」


悠真がゲラゲラと笑う。

来週末は唯ちゃんのお誕生日会…。

変なストーカー騒ぎですっかりと忘れてた。

あれから唯ちゃんがまた私と悠真に会いたがってると岩谷さんが言い、唯ちゃんが自分のお誕生日会に私と悠真を招待してくれてる。


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