この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第36章 ええ男やのに…
悠真みたいになりたいって何?
悠真は悠真で私は私だ。
「あんな、悠真の事は俺はおじいちゃんから聞いてる話があるねん。」
「悠真の事?」
「悠真は…、ある種の精神病なんや。」
来人の言葉が信じられないと思うた。
「そりゃ、悠真はアホで変態や。だけど精神病は言い過ぎちゃうの!?」
来人に噛み付くように叫んでまう。
「ある種のて言うたやろ?悠真は不眠症なんや。それもかなり特別な不眠症なんや。」
「悠真が…?」
「幼児期のトラウマやと思う。1日2時間ギリギリしか寝られへん体質になってるらしい。」
全てが初めて聞く話に来人に何も言えなくなる。
悠真が…。
20年近く一緒に居る。
私が知る限り、悠真は普通に寝てるはず。
昼寝だってする。
いや…。
私よりも後に悠真が起きた事がない。
私が寝付いてから悠真は起きてるのかもしれないとか考える。
「普通の人は最低でも6時間くらいは寝る。悠真は2時間。つまり普通の人よりも4時間の時間を使う事が出来るから勉強なんかはその時間を利用してやってたって俺はおじいちゃんから聞いた事がある。」
初めて来人から、おじいちゃんとの話を聞く。
来人は来人なりに遊んでばかりの悠真が何故、成績が良いのかを悩んだ事があるらしい。
悠真のように頭が良ければ進学校の受験が楽になるのにと来人が焦ってた時におじいちゃんから
『悠真は他の人が眠ってる時間に勉強してるんや。』
と言われたらしい。
「最近じゃ、わざと3時間睡眠の体質を手に入れる講座があって、3時間睡眠を取得した人は社会的に成功する人が多いという事実もある。」
来人がそんな話を淡々と語る。