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振り向けば…
第37章 怖いよ…
ただ悠真に怒りが湧いた。
20年も一緒に居たのに…。
何も気付かなかった自分が馬鹿みたいに感じる。
「なんで言うてくれへんねん!?」
怒りを悠真にぶつけてまう。
「来夢…。」
ただ悠真は狼狽える。
悠真には感情がないから…。
私の怒りが理解出来ないのだと初めて理解する。
「どうせ、私は鈍いからな。悠真の事なんか何も知らん女やったわ。そんな女に家族面されてもさぞかし迷惑で滑稽やったやろ!!」
自分の恥ずかしさや悔しさをひたすら悠真にぶつけてやる。
悠真はどうせ何も感じないのだから。
涙が止まらなかった。
「ごめんな。」
穏やかな顔で悠真がそう言うて来る。
頭でしか私の怒りが理解出来ない人。
だから私が不機嫌な時は平謝りをすればええと思うてるんだと考える。
電車で座らないのも、困ってる人や辛い人がわからないから始めから座らない。
全てがわかると私は涙しか流せない。
岡山に行った事も、鹿児島に行った事も…。
映画に行った事も、ライブに行った事も…。
私だけが楽しくて私だけが幸せだと思うてた。
悠真は何も感じない。
悠真にはただ私と行ったという感覚しかなかった。
悠真には面倒なだけだったのかもしれない。
ギブアンドテイクの女が1人で喜んでたのを何も感じずに見てただけの悠真。
「なん…で…?言うて…くれへんかった?」
「お前にだけは同情されたくなかったからや。」
悠真が低く重い声で呟いた。
「同情…?」
意味がわからない。
何度も悠真が私の涙を拭う。
「お前とだけは常に対等で居たかったんや。」
悠真の言葉が重くて涙は止まらない。