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振り向けば…
第37章 怖いよ…



普段の悠真はほとんどお腹が空かない、普段の悠真はほとんど眠くならない。

人の顔を見ても能面みたいに見えるから感情がわからない。

自分の感情もわからない。


「だけどお前は違うねん。俺によく笑ったり泣いたり怒ったりするお前だけは違うんや。」


だから私の存在は大切なんだと悠真が言う。


「だからお前にだけは同情とかされたくない。」


悠真が私に懇願する。

混乱する…。

何も知らなかった私だったなら悠真に同情なんかしなかった。

悠真のお父さんが居ない事も、私だってお父さんを亡くすかもと同情する気持ちなんか持ち合わせる余裕なんかなかった。

今は違う。

悠真の病気を知ってしまった。

私の中で悠真に同情する気持ちが湧いてまう。

悠真を傷付けてた自分を許せないとか思うてまう。


「私と居たのは、お父さんの命令やからか?」

「それは違う。俺がお前と居たかったからや。」

「私と居たら辛くなかったんか?」

「お前には笑える。お前には多少の感情を感じる。何よりもお前となら眠れるからな。」


悠真が私を抱き上げる。

私の顔を撫でながら覗き込む。


「寧ろ、俺がお前を傷付けてまうんや。感情がわからんからオカンは俺に散々泣いて来た。俺はお前を泣かすのだけはしないって決めたんや。だから…。」


悠真が息を飲み込んだ。

言葉を詰まらせて私から目を逸らす。


「だから…?」


追い討ちをかけるように聞いてまう。

ここまでしなければ悠真は自分の本音を私には言わない男だと理解をしたからだ。


「来夢は普通の男と恋愛をして結婚した方がええねん。その方がお前には幸せなはずや。」


切ない声でそう言うて悠真が完全に俯いた。


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