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振り向けば…
第37章 怖いよ…
悠真が狭いベッドで横たわり、私を抱えて私の髪を撫でて寝かしつける。
それが悠真のやり方。
私が落ち着いて眠れば安心する悠真が少しでも眠れるのだと思う。
私は変わらずに悠真の傍に居られる。
悠真に無理に愛されたいとか思う気持ちを止めようとだけ考える。
焦らなくてもええねん。
20年も一緒に居たんやから。
このまま20年先も一緒に居ようや。
いつもと変わらない2人で目を覚ませばええだけや。
そんな風に考えてる間に私の意識は睡魔に飲み込まれてた。
夢の中で悠真が私にキスをする。
深いキス…。
優しいキス…。
『愛してる。』
低く重い声でそう言われると泣きそうになる私が居る。
「ゆう…。」
目が覚める。
チュッ…。
リップ音がして私の唇から悠真の唇が離れた。
悠真の手が私の胸を揉んでる。
「起きたか?」
ニヤリとして悠真が笑う。
「朝っぱらから何しとんねん!」
「来夢が朝は起こせ言うたからナニして起こしたろうかと…。」
「やかましい!」
朝から悠真を蹴飛ばしてシャワーを浴びて会社に行く準備をする。
「ほら、コーヒーとパンくらい食え。」
私がシャワーを浴びてる間に悠真がトーストを焼いてくれてる。
「ありがとう。」
「それは俺が言う言葉や。」
「なんで?」
「久しぶりに寝れたからな。」
「そうか…、なら良かったな。」
穏やかな会話。
おばちゃんと暮らしてから、また不眠症が酷くなってるのだと思う。
私が傍に居てやれないから…。
「週末はここに来ててや。」
「残飯整理か?」
「ライブのブルーレイを持って来てや。」
「わかった。」
悠真を部屋に残して私は仕事に向かう。