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振り向けば…
第37章 怖いよ…
悠真の質問に頷くと悠真は手袋を付けて紙袋の中身は確認せずに丸ごとビニール袋へ押し込んだ。
それは拓也さんに渡して警察に持って行く為だ。
拓也さんが来るまでに悠真はカメラの映像を確認する作業をしてくれる。
映像にはごく普通の男の人が私が帰る1時間ほど前に紙袋をドアノブに下げると直ぐに立ち去る姿だけが写ってた。
「どう?」
悠真に聞いてみる。
「多分、無理やな。」
悠真がため息をつく。
顔が写ってないからだ。
その人が立ち去る時に俯いて立ち去ってるから顔が写ってないと悠真が言う。
拓也さんが来てから悠真が状況の説明をしてくれる。
「それでも、全く何もない訳じゃないから、その映像と紙袋を警察に持って行きます。」
と拓也さんが言う。
一応は私が全く知らない人から奇妙な紙袋を渡されてるという被害の証拠にはなるから警察の対応も少しは変わると拓也さんが教えてくれる。
ストーカー事件は警察に対して被害者の言葉だけでは足りないのだと拓也さんと悠真が証拠集めをしてくれてる段階だった。
「飯にでも行こう。」
悠真が私と拓也さんを誘って来る。
「僕は警察に行くので2人で行って下さい。」
弁護士らしく、そない言うて拓也さんだけが私の部屋から出て行く。
そこから悠真と2人で焼き鳥屋に行く。
焼き鳥にかぶりつく私を見ながら悠真が呆れた顔をする。
「お前、怖くないんか?」
ストーカーをされてるのに平然と焼き鳥にパクつく私が不思議だと悠真が言う。
「怖いよ…。」
でも…。
不思議と怖さが薄いと思う。
悠真が居る。
拓也さんも居る。
私はちゃんと守られてると感じる分だけ怖さが薄いのだと思う。