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振り向けば…
第39章 長いな…
その代わり…。
「邪魔やから離れろ!」
「ちょっとだけ…。」
「やかましい!秋刀魚が焦げる!」
「コンロの火を止めろや。」
「晩ご飯を作ってる時は近寄るな!」
毎週末に私のマンションに現れては台所に立つ私にしがみつき胸やら股間やらを触りたがる悠真が出現するようになった。
ご飯を食べてても私の身体を触ろうとする。
「触んな!」
「飯なら俺が食わせたるから触らせろ…。」
「出て行け!」
「来夢ー!」
「やかましい!」
歯止めの効かない悠真を初めて見た。
無事にご飯を食べて食事の後片付けを始めると私のお尻を撫でて来る。
「風呂…、一緒に入ろう。」
「嫌です。」
「来夢…。」
「先に入っててや。」
「来夢と入る。」
うちのマンションはトイレとお風呂は一応別々だが1人用だからやたらと狭い。
しかも迂闊に悠真に愛撫された日には私の卑猥な声をマンション中に聞かせる事になる。
「嫌だって…。」
「ならホテルに泊まるか?スィートでもなんでも予約したるから。」
「勿体ない事をすんな。」
「じゃあ、ラブホ。」
「行きません!」
悠真が口を尖らせてふてくされる。
「俺の女や言わんかったか?」
「お前と付き合うたら私が傷付くって言わんかったか?」
いがみ合いが始まると止まらなくなるのはお互いの悪い癖…。
「そうやな。家族のままの方がええわな。」
「そうやね。お互いの束縛はないしな。」
悠真が寂しく笑う。
「帰るわ。ごちそうさん。」
「ゆう…。」
「来週は仕事やろ?」
優しさを見せて来るところは変わらない。
感情のない悠真には怒りは薄っぺらな感情でしかないのだから、直ぐに割り切って素に戻る。