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振り向けば…
第39章 長いな…
「約束やから…、明日は京都にでも行こうや。」
悠真の方が折れてくれる。
紅葉が始まったら京都に嵐山以外の雲龍図を見に行く約束をした。
来週は私が仕事だから、今週の休みに行こうと悠真が言う。
「お風呂に入って来て…。」
私の言葉に黙って従ってくれる。
明日の予定が決まれば悠真は割り切って私には無闇に触らなくなる。
大変だと思うと今度は私がため息をつく。
このため息を悠真に知られる訳にはいかない。
悠真のお母さんもきっと悠真に隠れてため息をついて来たのだと思う。
わざとらしいほどに大袈裟な鉄拳を悠真に入れては豪快に笑うおばちゃんの姿を思い出す。
少しでも悠真にわかりやすい感情表現をして来たのだと感じる。
それでも疲れる時がある。
だから悠真が一人前になったと判断をした時におばちゃんは悠真と暮らさないと決めたのだ。
悠真がおばちゃんに気を使い続ける事が母親として苦痛だったに違いない。
今は私に気を使い、私に必死の悠真が居る。
恋人じゃないと突き放され続けた時の方がマシかもしれないとか考える。
疲れた…。
悠真と入れ替わりにお風呂に入り、悠真にしがみついて眠りに落ちる私を悠真はずっと私の髪を撫でて眠れない夜を過ごしてた。
翌朝は悠真のキスで目が覚める。
「なぁ…、悠真…。まさか毎回、私が寝てたらキスしてる?」
「お前がして来る時だけな。」
「嘘やん!?」
「ほんま…、夢遊病かと思うぞ。」
私には覚えがない。
「いつから?」
「大学ん時くらいからやったかな。」
「マジで!?」
「一緒に東京に行った時が最初やったと思う。お前が泣きながら俺にキスして来たんや。」
身に覚えはない。
悠真の嘘じゃないかと疑いたくなる。