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振り向けば…
第39章 長いな…



悠真の場合、初期段階に5年もかけて治療をしたが全く改善の兆しがなかったと言う。


「来夢と居る方がよっぽど寝れる。」


悠真が寂しく笑う。

しかも悠真の場合、不眠が治ったからと言うて必ず感情感覚が戻る保証もない。


「ライブとか…、本当はおもろくなかったんか?」

「アホか、多少の感情はあるわ。来夢にムカついた事だって山ほどあるし、ライブは行けばなんとなく気分が良くなるねん。」

「私にムカつく?」

「言うたやろ?俺以外の男と居るとムカつくって。」


私以外の他人には全く何も感じないというだけで、多少の感情はあると言い切る悠真のくせに…。


「なら、私と付き合いたいと思うの?」

「そこがわかれへん。」


と答えやがる。

イライラする。

ほんまに病気か!?

そんな風にまで言いたくなる。

もう疲れたよ…。

フカフカの犬を抱いて永遠の眠りにつこうとする私を妄想してまう。


「そんなに気になるか?」


悠真が私に聞いて来る。


「だって…。」


この3ヵ月、この話ばかりだ。


「同情なら、やめてくれ。」

「同情してるつもりは…。」


いや…。

嘘だ。

明らかに私は同情してる。


「もう…、この話は止めようぜ。」


京都からの帰り道に悠真が私の車を運転しながら提案する。

素直に悠真の言う事を聞けば良かった。

なのに私の気持ちは悠真の言葉を認めてはいけないのだと訴える。


「そんな訳にいかへんやん。昔と違ごうて病院かて医学が進んでるやろうし、もし治せるなら治した方がええやんか。」


当然の意見として悠真に言うたつもりだった。

悠真ならきっと私が望む形にしてくれると思い込んでた。


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