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振り向けば…
第40章 二日酔い…
悠真に背を向けて布団に潜り込む。
「おい…。」
そない言うて悠真が私のベッドに潜り込む。
「来んなや…。」
「なんでやねん?」
「頭が痛いねん。だから寝る…。」
「寝るなや。」
「寝かせろや。」
「お前が寝たら俺が1人になるやんけ。」
背後から私を抱きしめて切ない声で訴える。
「ゆう…。」
振り向けば、情けない6歳の時の顔をした男が私を真っ直ぐに見る。
「1人になりたかったんやろ?」
「ごめんなさい、すみません、許して下さい。俺が悪かったです。」
いつもの平謝り。
呆れるしかない。
「馬ー鹿…。」
「とにかくシャワー浴びて飯に行くぞ。」
「二日酔いで食欲ないもん。」
「ただでさえ、ない胸がすっかり無くなったぞ。」
悠真が私の胸をむんずと掴んで揉んで来る。
私は条件反射的に思いっきり悠真を引張叩く。
「痛てぇ…。」
「今すぐに、この部屋から出て行け!」
「やだ…。」
私の顔を引き寄せてキスをする。
いつもと変わらないキス。
それは悠真に逆らえないと私に思わせるキス。
ゆっくりとキスが離れると悠真の大きな手が私の顔を撫で続ける。
「とにかく飯には行こう。」
私を確認するように悠真が覗き込む。
穏やかな顔をする悠真にホッとする。
1人になりたくなかったのは私の方…。
悠真を好きなままで居たかったのも私の方…。
振り向けば必ず奴が居る安心感。
拓也さんに感じるドキドキ感はないけども拓也さんに感じるドキドキは芸能人を好きになるのと同じ感覚だと自分でわかってる。
拓也さんは私の小さな手には届かない人だから…。
悠真は私と居るのが当たり前の人。
私が傍に居て一番安心する人だから…。