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振り向けば…
第41章 ただいま…
車をお父さん達が住むマンションへと走らせる。
久しぶりだから照れ臭くてワクワクする。
「ただいま…。」
一応は鍵を持つマンションの部屋に入る。
「やっと帰って来たか…、薄情娘。」
不機嫌な顔をした元ぼーそーぞくリーダーのお出迎えを受ける。
「ただいま…、帰りました…。」
無理矢理に笑顔を作ってお父さんの機嫌を取る。
「とにかく上がれ。大体の事は悠真から聞いとる。」
「悠真がここに来たんか?」
「どっかの薄情娘は弁護士任せで俺らには何も言わんからのー。」
チクチクとお父さんの嫌味が続く。
夏の終わりに起きたストーカー事件の事をまだ根に持ったままのお父さん。
「だって、お父さんにストーカーの犯人を教えたらどうするつもりよ?」
「ダンプに括り付けて引き摺り回して現場に埋めるに決まっとるやろ。」
お父さん…。
それでは貴方が犯罪者になりますから…。
お父さんは冗談のつもりで言うてるが聞いとる方は冗談じゃないとお父さんを止める側に回る。
「ほらほら馬鹿な事を言うてんと、来夢が久しぶりなんやからご飯にしましょう。」
不機嫌なお父さんをお母さんが宥めてくれる。
我が家はしっかり者のお母さんが居なければお父さんは間違いなく犯罪者だけで終わったな。
そんな事を考えながらため息をついて家族と共にテーブルに付く。
「あんな、来夢。」
夕食を食べなからお父さんが厳しい顔を私に向ける。
話があるからと今夜は呼び出された。
来人は自分には関係ないような表情でパクパクと機械的にご飯を食べている。
「どないしたん?」
「アパートと家の改装工事やけどな。」
「うん。」
「金が持ち逃げされたせいで3ヶ月ほど工期を伸ばす事になったんや。」
お父さんの言葉に唖然とする。
持ち逃げ?
勘弁して下さい…。
よくある話の被害に我が家も会ったとかいう話に私の食欲は一気に失くなるだけだった。