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振り向けば…
第42章 神の湯…
高級感のある革ジャンの下にはダサい赤いTシャツ。
相馬さんの姿に笑いそうになる私に相馬さんが
「お2人にはこの場所で区間タイムを測る手伝いをして欲しいねん。」
と言うて私には紙とペンを悠真にはストップウォッチを差し出した。
「区間タイム?」
「うん、ゼッケンナンバーの確認をして、このラインを通過した瞬間のタイムを教えて欲しい。」
そういうお手伝いをしてくれる人が少ないのだと相馬さんがボヤく。
そりゃ、そうだと思う。
深夜にこの寒空の下で車のタイムを測る仕事を喜んで引き受ける人は少ないはず…。
お手伝いはしたいけど…。
寒がりの私の身体がガタガタと震えて歯がカチカチと音楽を奏で出す。
「来夢は車に乗って観るか?」
悠真が私の心配をした瞬間だった。
「寒いのは苦手なの?」
そう言うた相馬さんが自分の革ジャンを私の肩に掛けてくれる。
やたらホカホカで温かい革ジャンに一気に寒さを感じなくなった。
相馬さんの革ジャンのポケットには大量のホッカイロが詰められてる。
「でも…、相馬さんが寒いでしょ?」
「僕は平気…。腰と足の裏に貼るカイロ貼ってあるし、Tシャツとズボンの下にはヒートテックを着てるから寧ろ暑いくらいなの。」
「はぁ…、そうですか…。」
「その革ジャンのポケットにカイロがいっぱいあるから今田さんと使ってね。」
完全防備の相馬さんに私と悠真が唖然とする。
そのくらいの用意をしてまでラリーにのめり込んでる相馬さん…。
お金持ちの道楽のレベルを超えてる気がする。
そうこうする内にレースが始まった。
相馬さんの無線に次々と連絡が入って来る。