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振り向けば…
第42章 神の湯…
スタートした車のゼッケンナンバーとスタートした時間などだ。
それに合わせて2つのストップウォッチを悠真が使いタイムを測り、その区間タイムを私が記録する。
手が悴むからポケットのホッカイロを何度も握りしめながら記録を取る。
僅か15台ほどのラリー車が次々に私達の前を通り抜けてコーナーを曲がって行く。
「ドリフトとかしないんだ…。」
少しがっかりとする。
派手なドリフトを期待してた私…。
相馬さんがクスクスと笑う。
「あれって見た目が派手なだけでタイヤの消耗が激しいし、日本の道路じゃタイムが遅くなるだけだから誰もやらないよ。」
ご最もな説明に
うちのお父さんならドリフトしまくりだけど、それって燃費の悪いお父さんなのね。
と1人で納得をする。
約2時間のラリー…。
すっかり深夜で丑三つ時。
「お疲れ様、今度お礼に食事でも奢るから…。」
寒がりな私に気を使って相馬さんがそう言う。
「今日はありがとうございました。」
相馬さんの革ジャンを返して頭を下げる。
「山を降りる時にナンバープレートとかマフラーが落ちてたら拾って置いてね。」
そんな冗談を言うてから相馬さんは自分の車に乗り込んだ。
もう通行止めは解除されてる。
最後に後追いという車がレースをしたラリー車からの落下物を拾って行く作業があるのだけど、たまに見落としがあってナンバープレートが道に落ちてたりするらしい。
「ラリーってナンバープレートとかマフラーを落とす為のレース?」
悠真と車に乗りながら聞いてみる。
「かなり貧乏なラリーだな。」
呆れたように悠真が言う。
車に興味がない悠真。
私の為だけに連れて来てくれた。