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振り向けば…
第42章 神の湯…
悠真とは違いあっという間に私は夢の中へと睡魔に引きずり込まれた。
最後の記憶は悠真の温もりと頬のキス。
夢の中で悠真を探す。
私が暮らす街。
全ての道を知ってるのに悠真の家に辿り着く事が出来ない私。
携帯の番号を押すのに指が震えて間違った番号ばかりを押してまう。
『悠真…、悠真ってば…。』
夢の中で悠真を呼ぶ。
振り向けば必ず奴が居る。
それを信じて恐る恐ると振り返る。
誰かが居る。
なのに顔も何も見えない。
聞き慣れた低く重い声。
『ごめんな…。』
そう言うて、その人が遠ざかる。
やだ!
止めて!
悠真との距離が遠くなる。
「やだ!」
思わず叫んでた。
「来夢?」
夢じゃない悠真が私の顔を覗き込む。
「悠真?」
「大丈夫か?」
泣きそうになる。
ただ怖かった。
悪夢なんて初めての経験。
「ゆう…。」
本物の悠真にしがみつく。
私の悠真はちゃんとここに居る。
「どないしてん?」
いつものようにクスクスと笑いながら私を子供のように扱う悠真。
髪を撫でて頬にキス。
私の悠真はちゃんと居る。
「怖い夢を見た。」
「どんな?」
「悠真がどこかに消える感じがする夢。」
「居るやんけ。」
悠真がクスクスと笑う。
「そうやんな。」
「そろそろ帰ろう。」
私の頭をクシャクシャと撫でたら服を着替えてモーテルを出て悠真と大阪に帰る。
夕食を焼肉屋で食べて、それはいつもと変わらない悠真との時間。
この時に私は気付くべきだった。
悠真が私を抱かなくなった日の始まりなのだという事実に…。