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振り向けば…
第42章 神の湯…



私の誕生日が過ぎれば大晦日。

私の車を運転しながら

チッ…。

と舌打ちをして不機嫌な顔をする悠真と高速道路を走ってる。

私の前を走る車は真っ黒なドイツの高級車。


「悠真…。」

「なんやねん?」

「そんなに嫌なら悠真だけ帰れば?」

「なんで俺だけ帰らなあかんねん!」


だって今日から我が家の家族旅行。

今年はお正月に来客が来ても対応が出来ないからと四国の温泉でお正月を家族で過ごすとお父さんが計画した旅行である。

当然、そこには悠真のお母さんも呼ばれており悠真も参加となるのだが…。


「なんで、あいつが来る事になる?」


悠真が私に聞いて来る。

あいつとはおばちゃんの彼氏の不動産屋の社長さん。

藤井 邦弘(くにひろ)さんという割と渋い系のおじ様が今回は同行する旅行に悠真はひたすら不機嫌だ。


「だって、いずれはおばちゃんの家族になるかもしれんやん。」

「だったら家族になってから来いや。」


こんな調子が1時間ほど続いとる。


「しかも、なんであいつの車が前やねん。」

「藤井さんの車やと、皆んな避けてくれるもん。」


真っ黒でナンバープレートはゾロ目ナンバーのドイツ車は普通の速度で走ってるのに、他のドライバーが道を空けてくれるから軽自動車の私の車は安全に走行する事が出来る。

私の車の後ろはお父さんの車。

因みにお父さん車は国産車だけど、やはり真っ黒でゾロ目ナンバーの高級車だから、傍から見れば私の軽自動車は危ない人達に挟まれた怖いもの知らずの軽自動車に見えるはず。

その軽自動車を不機嫌に荒っぽい運転をする悠真に私はひたすらため息をつく事になる。


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