この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第43章 何でもない…
寂しい気持ちを抱えたまま部屋に戻ると
「あら、来夢。お風呂に入ったの?」
と私達よりも先にお風呂から帰って来てたお母さんが聞いて来る。
「うん…、悠真が私用に貸し切りのお風呂を探してくれたから…。」
「そう…、悠真君、ありがとう。来夢は悠真君に甘えてばかりね。」
お母さんがふふふと笑う。
悠真は知らん顔でノートパソコンを見てる。
藤井さんが居るから私達に近寄らない悠真。
弟の来人も何かの医学書の論文を見ながら私達には近寄らない。
来人はいつもの事だけど悠真まで、そういう態度だから悠真のおばちゃんが
「もうすぐ夕食なんやからパソコンばかり触るの止めろや!」
と悠真を蹴飛ばしてる。
「んぁ?」
悠真はおばちゃんにも私にも蹴られ慣れてるから全く動じる事なく生返事を繰り返す。
うちの両親も悠真のお母さんも私と悠真は子供の時のままの関係だと思うてる。
いずれ悠真との関係を説明出来る日が来るのかと考えると段々と心配になってまう。
悠真から言うてくれれば終わる話。
その肝心の悠真が自分の気持ちに自信がないという状況だから私からは何も言えない。
悠真の馬鹿…。
寂しいからパソコンをずっと弄る悠真の隣に座って悠真に寄り添う事しか出来ない。
「仲良がいいんですね。」
藤井さんが寄り添う私と悠真を見てお父さん達に聞いてる声がする。
「さぁな、仲が良いんか悪いんか。寄ると触ると喧嘩ばかりしとるくせに必ず2人で居るわ。」
お父さんが豪快に笑うて藤井さんに説明する。
私は何も言わない。
悠真も何も言わない。
2人して親達の会話すら聞こえないフリをするだけだった。