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振り向けば…
第43章 何でもない…



「この後は?」

「そうやな…、バスタオルを買うて、からくり時計を見て、足湯に入る。」

「バスタオル?」

「今治タオルはかなり有名やぞ。」


なんとなくだけ聞いた事がある。

悠真がそのタオルのセットを何枚も買う。


「そんなに、どうするつもり?」

「オカン用と来夢用が必要やろ?」


私の家用と悠真の家の私用まで分けて買うてくれる悠真に笑う。

いつもと変わらない激甘。

いつもと同じ穏やかな笑顔。

その笑顔に裏切られるなんて思いもしなかった。

買い物をして駅前でからくり時計の見に行く。

有名な小説に出て来るキャラクターが1時間置きに登場する時計台。


「次の時間までに20分くらい時間があるから足湯に浸かって待とうぜ。」


悠真に言われるがままに近くの足湯で足を温める。

歩き回って疲れた足がホカホカとして気持ち良くなってまう。


「ふあぁぁあ…。」


豪快に欠伸が出た。


「眠いんか?」

「足がポカポカして来たら眠くなる。」

「夕べ…、俺が起こしたからか?」

「違うよ。」

「けど…。」

「なぁ…、悠真。難しいかもしれんけど、身体を横にするだけでも多分違うと思うから、健康の為には眠れなくても眠ってや。」

「一応、努力はする。」


あまり気のない返事を悠真がする。

これ以上の無理強いをすれば、悠真がまた私にキレるような気がするから何も言えなくなる。

この問題について強制を受ける事に異常な拒否反応を示す悠真だから私は少しづつしか悠真と話を進める事しか出来ない。


「そろそろ、時間や。」


話を逸らすように悠真が足湯から出てまう。

やっぱり無理か…。

この旅行中は悠真が私と距離を空けようとする態度にずっと怯えてた。


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