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振り向けば…
第44章 これは現実…



「自分を偽る?」


内海さんが不思議そうに聞いて来る。


「うん…、拓也さんって大人しくて控えめで地味な女性が好みなの。私はほんまはガテン系のくせに拓也さん好みに控えめな振りばかりしてたら自分の本音で拓也さんと話が出来ない女になってたわ。」


きっと、私はあの頃から既に悠真が好きだったのかもしれない。

それを偽った罰として私は拓也さんに振られた。


「私とは逆だね。」


人から気に入られたいと願い派手な見た目ばかりを気にして来た内海さん。

今は、それが馬鹿な事だったと後悔をして地味で控えめな女性に変わった。

だけど、それが本来の内海さんなのだとすれば拓也さんに相応しいのは内海さんだと納得する。


「意外な話を教えてあげる。」

「意外な話?」

「拓也さんって…、結構、不器用で魚の骨が上手く取れない人なの。だから魚の骨を綺麗に取れる人に憧れるって言うてたよ。」

「やばい!私も苦手なの…、練習した方が良いかな?」

「頑張れ!」


木村さんと2人で内海さんの新しい恋を応援する。

内海さんだって色々とあって今の内海さんになったのだから、少しくらいの幸せを感じても罰は当たらないはずだ。

仕返しとばかりに私は木村さんも攻撃する。


「合コンとか言いながら…、島田さんって木村さん以外はアウトオブ眼中だったよねぇ?」


私の言葉に木村さんがパンケーキを喉に詰まらせた。


「そんなんちゃうわ!」

「一途な人って素敵だと思うよ?」

「来夢…、あんたって人は…、ほんまにキャラが変わったな…。」

「我が家じゃ内弁慶て言われてるもん。」


人見知りがあるから大人しい良い子を演じる癖がついてもうた。

そのせいで付き合う人全てに誤解を与え続けた。


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