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振り向けば…
第44章 これは現実…
誰かの役に立ててる?
暇つぶし程度にしかならないかもしれない。
でも、私も暇つぶしで読む人も暇つぶしの気持ちで読んでくれて楽しかったと言うてくれるのなら私は誰かの役に立ててるのかもしれないと嬉しくなる。
専門は建築…。
文系は苦手だった私の囁かな趣味…。
のめり込むタイプじゃないから…。
悠真がきっかけで書く事が好きになっただけだから…。
長い1日から逃げるように私は携帯に拙い文章を綴り続ける。
こんな世界があったらビックリ?
こんな人が居たら凄い?
妄想の世界に浸る事で少しでも悠真の存在を忘れる事が出来る。
気付けば春…。
出勤する私の車のボンネットには桜の花びらが舞い落ちる季節になってた。
「今年こそ呑みに行く約束ですよ。」
膨れっ面の修斗君が私に文句を言う。
「試験に落ちるような子なんか連れて行かない。」
ため息をついて修斗君を叱る。
1日講習を受けて簡単なテストを受けたら誰でも取れる資格やで…。
なんで、そんな簡単な資格試験に不合格とかみっともない事が出来んねん。
修斗君にそう言うてやりたいがパワハラだという時代にガミガミ言うのは気が引ける。
その代わり、工事部の人達には
「今年は佐久間君が試験に受かるまでは全面協力をするように…。」
と遠回しな社長命令が降りている。
これは試験に合格するまで飲み会などの遊びに修斗君を誘わないようにという意味が含まれる。
迂闊に修斗君を誘い、次も修斗君が試験に落ちるような事があれば連帯責任を問われる恐怖から誰もが修斗君を誘わない。
私にまで、その件で釘を刺された修斗君はずっと不機嫌なまま私の現場に出る事になる。