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振り向けば…
第45章 臭いよ…
「お前も、そう思うか?」
悠真の声が一段と低くなる。
どういう意味?
誰が見てもおばちゃんが萌奈さんをお気に入りなのは一目瞭然やん。
あわよくば悠真の嫁にって勢いやん。
そんな事すらわからん悠真に腹が立つ。
「オカンがやたらと萌奈を甘やかすねん。萌奈みたいな娘が欲しかったとか言うてな。」
そんな悠真の愚痴を聞きたくなんかなかった。
「だったら、ほんまに娘になって貰えばええやん。」
「アホな事言うな。来夢はそれでええんか?」
冷静な悠真の質問にイライラとする。
「悠真の気持ちはどないやんねん?悠真の気持ちが一番大事な事とちゃうんか?おばちゃんが望むからおばちゃんの言いなりになるんか?」
ただ一言…。
違うと言うて欲しかっただけだ。
悠真の気持ちが簡単には動かない事は理解をしてるつもりだったから…。
なのに…。
「俺も、ええ加減にオカンの気持ちを考えたらんとあかん年齢なんやろな。」
そんな情けない言葉が返って来た。
ずっと俯く私には悠真の長い脚しか見えてない。
その脚に向かって思いっきり爪先で蹴り上げた。
「どわっ!?来夢!!」
怒りを込めた私の蹴りは見事に悠真の弁慶の泣き所に入ったらしい。
悠真が私から手を離し、自分の脚を抱えてしゃがみこむ。
その悠真を見下ろしてやる。
「だったら、おばちゃんの為だけに相手がジャガイモだろうとピーマンだろうと諦めて結婚でもなんでもしたれや。その方がおばちゃんは藤井さんと心置き無く結婚ができるんやからな。」
私は悠真を見下してた。
こんな男を2度と好きになんかならない。
これ以上、傷付けられてたまるもんか。
ぼーそーぞくの娘は怒りに狂って完全に自分が見えなくなってた。