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振り向けば…
第45章 臭いよ…
もう、ええわ。
女なんか捨ててやる。
ガテン系の女が小さいってだけで無理をしてたのが間違いやん。
可愛こぶって聞き分けの良い女を演じて、結果がこのザマだ。
ヤケクソで女を捨てると決めた私はパンを咥えたまま家を出て車で会社に向かう。
「おはようさん。」
会社の駐車場で社長さんにそう言われる。
「おはようございます…。」
いつものように頭を下げたつもりだった。
「なんや?森本さん、不機嫌やな?」
「へ?」
「気のせいか?不機嫌が顔に出とる。」
「そんな事は…。」
「専務とか宮崎とか鈍いから気付かんやろけど、儂はそういうのはすぐわかるんや。」
社長さんがゲラゲラと笑うから顔が熱くなる。
きっと恥ずかしさで顔が真っ赤になってると思う。
「森本さんもまだまだ可愛い女の子やな。」
ゲラゲラと笑いながら上機嫌の社長さんが会社の建物の中に入って行く。
もしかして私の顔が泣いて腫れ上がってるから慰めてくれたのだろうか?
仕事には厳しい社長さんだけども仕事以外では冗談ばかりを言うて笑わせてくれる社長さんだから…。
建築は辛い世界だから笑うて仕事をしなければやってられなくなるが社長さんの口癖。
社長さんの笑い声に絞んでた心が少しだけ膨らむような気がした。
社長さんのお陰で冷静な自分を保ち仕事が出来る。
朝の朝礼に報告書の確認。
宮崎さんの親父ギャグに笑える私が居る。
「現場に行って来ます。」
そない言うて会社を出る。
自分の車に乗り込み携帯のイヤホンマイクをセットすると1件のメッセージに気が付いた。
メッセージ?
いつもの感覚でそのメッセージに目を通す。