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振り向けば…
第45章 臭いよ…



足が重くて胸が痛い…。

悠真の家の扉を開くと倒れて死んじゃうんじゃないかと恐怖が湧いて来る。

重たい玄関扉を開けると中は薄暗く、人の気配を感じない。

鍵は開いてた。

おばちゃん達は買い物にでも行ったのかな?

無人のリビングを見て、そう思う。

悠真は必ず私を待つと言うてた。

ならば仕事部屋で待ってるはず…。

もしかしたら萌奈さんとイチャラブ中だったら、どうしよう?

仕事部屋の前で中の様子を伺う。

大した音はしないから扉を軽くノックしてから、ゆっくりとその扉を開く。


「来たか?」


いきなりの悠真の声にドキドキする。


「お前が呼んだんやろ?」


冷たい言い方しかしてやれない。

前回は床に敷いてあった布団がなくなってるのに気が付いた。

今は俺のベッドで萌奈さんと寝てるって意味?

俯いて悠真が見れなくなる。


「おばちゃんは?」

「藤井さんと旅行中、連休は目一杯韓国やと。」

「も…、萌奈さんは?」


泣かないつもりだったのに…。

床のフローリングには大粒の水滴がボタりと落ちる。


「さぁ、知らん。もう萌奈は俺のアシスタントとちゃうからな。この家からは出て行け言うた。」


平然とそない言う悠真の重い声がする。

また床にボタりと水滴が落ちる。


「なんで?…仕事が…、終わったからか?」


冷静に話をするつもりだったのに声が震えてまう。


「残念ながら、まだ終わってない。」


悠真が動く気配がする。


「なんで終わってないんよ…。」

「萌奈の件は…、まぁ…、色々あるけどな。俺が仕事に集中出来なかったんが一番の理由やな。」


私の頭の上に乗るのは悠真の大きな手…。

その温もりを感じるだけで私の涙腺が緩み床にボタボタと涙が落ちる。


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