この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第46章 泥棒猫…
「おかわり…。」
当たり前のように悠真が私にお茶碗を出して来る。
「自分でつげ!」
「入れてくれや!」
いつものじゃれ合いが出来るから、少しづつ笑える私に戻れる気がする。
「飯の片付けが終わったら来夢は先に風呂に入って寝ろや。」
夕食の終わりには悠真がそう言うて来る。
「帰るよ…、着替えもないし…。」
何よりも萌奈さんが寝泊まりしてたベッドで寝るのが嫌だと思う。
「帰んなや。俺の服でも着とけ。着替えは明日持って来い。仕事が終わったら旅行にも行くんやし。」
悠真が不安そうに私の顔を撫でて来る。
今回の事で感情が理解出来ない悠真にも少しは私を失うという不安が伝わったのだと感じる。
今は仕事中で私に構う余裕すらないくせに、私をこの家から出したがらない悠真が居る。
傍に居てやるべき?
それとも萌奈さんが使ったベッドは嫌だと我儘を言うて帰るべき?
仕事に集中をしたい悠真にこれ以上の我儘が言えない気がして悠真のシャツを借りてからまずはお風呂に入る事にする。
バスタオルは愛媛で買うてくれた新品のバスタオル。
私用だと買うたタオルはさすがに萌奈さんには使わせてないと安心する。
それでも私が使わないシャンプーやトリートメント、洗顔用品が並ぶお風呂に私は戸惑いが隠せない。
おばちゃんのシャンプーだよね?
悠真は私と同じシャンプーが好みだからとビクビクしながら入るお風呂に落ち着かない。
さすがに自分でも驚くくらいに嫉妬深いなぁとか考えてまう。
萌奈さんとは何もなかったと悠真は言うてたんだし…。
頭の中では何度も割り切ろうとする。
それでも洗面台に残る3本目の歯ブラシに私の身体が強張る。