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振り向けば…
第46章 泥棒猫…
私の歯ブラシは引越しの時に捨てた。
2本は悠真とおばちゃんの分…。
悠真の歯ブラシに寄り添う3本目の歯ブラシに身の毛がよだつ気分になる。
彼女がまだここに居る感覚…。
自分が神経質になりおかしくなってるとは感じる。
ヤキモチや嫉妬のレベルを超えてるかもと悩む。
悠真の寝室にも行けないままリビングのソファーで携帯を弄る。
寒いな…。
前なら私用のブランケットが必ずソファーの肘掛に掛けて置いてあった。
今は私の知らないクッションがあるだけで私のブランケットがなくなってる。
ソファーに踞り携帯を使って淫らな妄想の世界を綴り続ける。
自分のモヤモヤを小説にして吐き出す感覚。
そうすれば長い時間は勝手に流れて行き私は睡魔に引き込まれる。
悠真と離れると決めた時の私の逃げ道を悠真の傍でも続けてる。
寒いよ…。
悠真のシャツ1枚の姿でソファーで猫のように丸まって眠る。
悠真は仕事に夢中だから…。
今は傍に居ても居ない人。
私はそういう悠真に慣れて来たはずだ。
大丈夫…。
きっと大丈夫…。
どこまでが自分の妄想で、どこまでが現実なのかよくわからない夢を見る。
暖かい…。
そう感じる。
「ゆう…。」
その温もりを求める私が呼ぶ。
頬でチュッとリップ音がする。
「起きてベッドに行け。風邪ひくぞ。」
耳に悠真の息がかかる。
私の身体は私用のブランケットに覆われてる。
「やだ…。」
卑屈でいじけた我儘を寝ぼけながら言う。
「アホか?寒がりのくせに…。」
悠真が私を抱き起こす。
無理矢理にベッドに放り込まれるとわかるから私の身体が抵抗する。
「やだって!」
「来夢?」
本気で私を心配する声がする。