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振り向けば…
第46章 泥棒猫…



結局、その夜は悠真の仕事部屋で私は寝る。

悠真はやっぱり眠らない。

なんとなくは感じてた現実を今、初めて目の当たりにする。

この人は本当に眠らない人なんだ…。

ずっと仕事に集中する悠真をぼんやりと見ながら眠りに落ちる。

朝はなんとなく目が覚める。

ふと私の隣に悠真が居る感覚を感じる。


「ゆう…。」


悠真が眠ってる。

まともな寝顔すら初めて見たような気がする。

きっと明け方に寝たのだろう。

そのまま寝かせてやりたいと思うのに…。


「ちゃんと寝れたか?」


一瞬で悠真が目を覚ます。


「うん…、悠真はもう少し寝てて…。」

「いや、起きる。2時間寝たからな。」


私の頭だけを撫でたら仕事に戻る悠真を眺め続ける。

初めて見る悠真ばかり…。

私は誰に恋をしてたの?

私に愛情がわからないと言うてた悠真と、今まで形だけの愛情を求めてた私の違いは何?

私との関係を本気で考えると約束してくれた悠真に私は振られるかもしれない不安を感じる。

私はどうすればええの…。

手が震える。

こんな経験は初めてでどうすべきかの判断さえ出来なくなる。

呼吸すら出来ない。


「ゆ…、う…。」


布団から動けずに助けを求める。


「おい?来夢!?」


悠真の叫び声はするのに目が霞む。

後で聞いた話では息が出来なかった私はチアノーゼを起こして顔面蒼白になってたらしい。


「落ち着け!わかるか?鼻から息を吸うて口から出すだけや!」


悠真の怒鳴り声だけがする。

言われた通りに呼吸する。

震える手を悠真が握る。

どのくらいの時間がかかったかは感覚がない。

段々と自分を取り戻して普通に呼吸が出来るようになって来る。


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