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振り向けば…
第5章 悔しいけど…
水泳部は大阪大会にまでは進んだ。
地方大会は普通の学校のプールを借りてやってたのに大阪大会になると競技場のプールに変わるから驚きの連続ばかりになる。
審判やスターターが本格的になり、観客席に人がたくさん居る大会。
なのに、うちの学校は相変わらず派手な音楽を掛けてパラパラを踊っては他の学校から違う意味の拍手を貰うを繰り返す。
「お前ら、少しは静かにしろよ。」
滅多に顔を出さない顧問の先生に窘められて音楽のボリュームだけは下げる事した。
「応援団の曲は決まったか?」
「まだや。」
溝口先輩とこんちゃん先輩が話をする。
私は紫組…。
日下先輩が応援団長を務める。
女子は明日香先輩が団長をするから少しだけホッとする。
こんちゃん先輩が青組、溝口先輩はオレンジ…。
オレンジの女子団長は幸芽先輩。
「来夢とは違う組やなぁ…。」
溝口先輩が私の頭を撫でて言う。
「練習も別々?」
「そりゃ、そうや。明日香が面倒見てくれるから大丈夫やって…。」
溝口先輩は笑うけど踊った事のない私には不安だらけの応援団。
「来夢に衣装を縫うて貰うつもりやったのに…。」
「衣装!?」
「そうや。毎年、女子がデザインして自分達で縫うんやで。男子の分も女子が縫うって決まってる。」
裁縫まであるとか聞いてない。
面倒な事に参加したと自分に後悔する。
中学まではそういうのに巻き込まれたくないからと人付き合いを選んでたのに、高校では彼氏という存在だけで私の世界がすっかり変わってまう。
「ぐっさん…、そろそろ出番やぞ。」
こんちゃん先輩の言葉にハッとする。
「先輩…、頑張って…。」
今から試合に出る溝口先輩を励ましたつもりだった。