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振り向けば…
第46章 泥棒猫…
「中日の2日間は仕事か?」
「うん…。」
「ここから通え。」
「わかった。」
朝ご飯を食べながら連休は私とずっと居るつもりだと悠真が言うてくれるから少しづつでも気持ちが落ち着いて来る。
もう居ない人の事は考えない。
今までだって前だけを見て進んで来た。
立ち止まれば悠真が背中を押してくれる。
振り向けば私を見守る悠真が居る。
絶対に大丈夫。
ガテンの姉ちゃんはブルドーザーの如く前に進む。
「行って来る。」
仕事をする悠真を残して悠真の家を出る。
私の部屋まで僅か5分。
何事もなくマンションに入り、郵便物を取ってから部屋に帰る。
荷物はかなりの量になる。
普段の着替えにパジャマに仕事用の作業服。
悠真の家に預けてた荷物は本や小物ばかりだから着替えも預けておけば良かったと後悔する。
前の段階じゃ悠真との関係が不安定だったから、そこまでの荷物は残してない。
「靴もかぁ…。」
現場用の鉄板入り安全靴は以外と重くて嵩張る大きさだから、ため息が出る。
2回に分けて運ぶ?
引越し並になる荷物をぼんやりと眺める。
悠真とのプチ同棲…。
でも連休の間だけだし…。
連休が終われば私は自分の実家に帰る。
慣れた生活だから、それほどドキドキはしない。
その代わりに当たり前の場所を再び手に入れた安堵感に不安定だった気持ちが落ち着いて来る。
焦らない。
背伸びもしない。
私は私のままで悠真との関係を前に進める。
そんな事を考えながら荷物をまとめて行く。
ガスの元栓を閉めたり、しばらく帰らない部屋の戸締りをして家を出た。
かなり大きなトランクをゴロゴロと引き摺りながら悠真の家に戻る。