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振り向けば…
第47章 20年分の信頼…
「貴女、何様なん?いきなり現れて泥棒猫みたいに振舞って…。仕事も何もかも悠真さんの全てを邪魔をしてるのは貴女の方でしょ?悠真さんが気付いてないからって家族面するのは止めてくれる?」
一方的な文句を私に向けて萌奈さんが吐き出す。
「はぁ?冗談じゃないね。いきなり現れた?たかがひと月ほど悠真と暮らしただけで悠真の嫁気取り?お生憎様だけど私は20年もあのアホと居るんよ。」
「幼なじみってだけの立場でしょ?」
「わざわざ学校で腕を磨いて卵焼きすら認めて貰えなかった女のくせによく言うわ。その程度の人間は悠真が一番嫌うって事すらわかってないでしょ?」
悪いがガテン系姉ちゃんは目の前で売られた喧嘩に怯むという事をしない可愛げのない女だ。
女の罵り合いと罵倒が続く。
「そこまでにしろ。」
玄関の扉が開き悠真がゆっくりと出て来る。
「近所中に丸聞こえや。」
悠真が呆れた顔で私を見る。
「悠真さん…。」
萌奈さんが悠真に甘えた声を出す。
フンッと私だけがそっぽを向く。
「あんな萌奈、はっきり言うといたる。来夢は3年前からこのマンションの住民に登録されとる。けどお前は登録されてない。この段階で警察を呼べばお前は不法侵入者として逮捕される事になる。」
淡々と悠真が萌奈さんに話をする。
「でも…。」
「でももへったくれもないねん。お前が言うイヤリングも今日、俺の弁護士に俺の部屋には存在しないという確認を取って貰うた。つまり、これ以上はお前の言いがかりとして俺は訴える事が出来る。」
悠真の冷たい説明に萌奈さんの顔色が変わっていく。
他人にはとことん冷たい悠真に私の背筋にも冷たい物が流れてく。