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振り向けば…
第1章 アホの子…
私が生まれる前におばあちゃんが亡くなった。
おばあちゃんが居た時は農家をしていたというおじいちゃん。
持っていた田んぼを売ってアパートに変えた。
アパートは3つ…。
お父さんは男ばかりの3人兄弟。
長男のはずのお父さんはぼーそーぞく…。
下の弟2人は真面目に大学に行った。
だから、おじいちゃんは弟達にアパートを1個ずつ渡したと聞いた。
叔父さん達は普通のサラリーマンだから…。
そして、ぼーそーぞくで高校にすら行かなかったお父さんにはおじいちゃんは会社を作った。
解体専門の建築会社。
小さな会社の社長になったお父さんはぼーそーぞくの時の後輩とか仲間と働くようになった。
お母さんは短大に行ったらしい。
お父さんとは幼なじみ。
バイクにばかり乗って働かないお父さんに
「仕事をしないなら、これ以上は付き合えん。」
と言うたお母さんにお父さんが会社作って働くからと土下座をして結婚をして貰ったんだと龍平おじさんやぼーそーぞくの後輩の人から聞いた事がある。
おじいちゃんは私達と暮らしながらずっと家主という仕事をしている。
そのアパートに悠真と悠真のお母さんが住むんだとお父さんが言う。
子供だった私には、その意味がよくわからない。
わかるのは、うちから歩いて5分の距離に悠真の家があるという事だけ…。
「悠真ん家に行く。」
要するに保育園の代わりに悠真の家に通うだけだと自分を納得させる。
「お父さん、いつ帰って来んの?」
「うーん、もうちょっとやな。」
「卒園式ん時?」
「それは無理やな。」
「なら入学式?」
「までには帰りたいな。」
お父さんが寂しく笑うとお父さんが2度と帰って来ないのかもと不安になって、なかなかお父さんとは離れる事が出来なかった。