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振り向けば…
第1章 アホの子…



家に帰るとお母さんが


「来夢、悠真君と先にお風呂に入って来て…。」


とか言うて来る。

微妙に男の子とお風呂に入るとか嫌やなとか思う。

私がモタモタとしてる間に悠真は服を脱いで、すぐにすっぽんぽん…。

堂々たるフリチンを見せられてもガキっぽいとしか感じない。


「なんや、お前…。もしかして、まだ1人で風呂も入られへんのか?」


ガキっぽい悠真の言葉にムカついた。

悪いがうちにはまだ赤ちゃんの弟が居るから私は毎日1人でお風呂に入ってる。


「入れるわ。」

「なら、さっさと脱いで入れや。寒いやんけ。」


渋々ながら悠真とお風呂に入ってた。

シャンプーを奪い合い、タオルを奪い合うという喧嘩上等のお風呂…。

それでも最後は悠真と2人で仲良く静かに湯船の中へ浸かってた。


「極楽や…。」


ジジくさい事を悠真が言う。

私は黙ったまま俯いた。


「なんやねん?」

「お父さん…、もう帰って来うへんのかな?」


涙がまた溢れ出す。


「そんな事、ある訳ないやろ?オッチャンが帰って来んと俺ん家も困るんやぞ!」


悠真が私を怒鳴りつける。

大人になってから知った話…。

龍平おじさんが亡くなってから悠真と悠真のお母さんの生活はかなり苦しかった。

悠真のお母さんはやっぱりお父さんのぼーそーぞく仲間だったから、働ける場所も限られていて、アパートの家賃を払うだけで精一杯の状況だった。

見かねたお父さんが


「2人で大阪に来いや!龍平の子供は俺が面倒見たるから。」


と啖呵をきったらしい。

おじいちゃんのアパートなら家賃が要らない。

お父さんの会社で働くなら学歴も要らない。


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