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振り向けば…
第47章 20年分の信頼…



「まさか、お前がこんなに早く帰って来るとか思わんかった。」


悠真がガックリと項垂れる。


「もしかして…。」


井上さんの方を見る。


「僕が対応をして萌奈さんに2度とここには近寄らないという確約を取り付ける予定やったのに…。」


井上さんがニヤニヤとする。


「全部、聞いてた!?」


驚愕する私を井上さんがゲラゲラと笑う。


「全部、聞こえとったし、全部、インターホンのカメラに録画しとるわ!」


私に向かって悠真が叫ぶ。

穴があったら入りたいという言葉はこういう時に使うのだと学習をする。


「嘘!?やだ!その録画を消してよ。」

「残念ながら、それは無理です。今田がはっきりと萌奈さんに意思表示を示した証拠になるので…。」


ニヤニヤとしながら井上さんが弁護士としての対応を説明してくれる。

ほんまは井上さんが萌奈さんに2度来ない確約を取る部分を録画する予定だった。

ところが予定外で帰って来た私が萌奈さんと罵詈雑言の争いを始めてもうた。

仕方がなく井上さんでなく悠真が登場する事になり、悠真が自分の意思を萌奈さんに伝えた瞬間を録画する事になったらしい。

次に彼女が現れたら、迷惑行為として告訴が出来ると井上さんが言う。


「お前が帰って来るまでに全部が終わるはずやったのに…。」


ひたすら悠真が嘆き続ける。


「いやー…、今田の彼女がこんなに怖い人って知らんかったわ。次からは合コンとかキャバクラに誘うのは控えたるな。」

「そうしてくれ…。」


ひたすら笑いながら井上さんが帰る。

後に残されたのは気不味い悠真と私だけ…。


「お前という奴は…。」

「悠真かて、早速約束を破ったやん。」

「だから井上は俺の弁護士や!」

「他人は他人やろ?てか、合コンとかキャバクラにそんなに行ってたんか?」

「それは別の話やろ?」

「明日から仕事が休みなので今夜はゆっくりと聞かせて頂きます。」

「来夢!?」


悠真が嫌な顔をして叫ぶ。


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