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振り向けば…
第47章 20年分の信頼…
髪を綺麗に洗い流すと悠真が当たり前のように私の身体を洗い出す。
「なぁ、悠真?」
「ん?」
「正直に聞くけど、萌奈さんを綺麗だとか可愛いとか思うた瞬間はなかったんか?」
「やっぱり、お前、嫉妬深い?」
「真面目に聞いとるんや。」
「なら、怒るなよ…。」
悠真が真面目な顔に変わる。
やっぱり萌奈さんを一瞬でも綺麗だと思うた瞬間があったのだろうかと胸の中がチクリと痛む。
「俺が人生の中で唯一綺麗な人やと思うたんは、玲奈さんだけや。」
「はぁ!?」
意外な伏線の人物登場に私の思考が混乱する。
確かに玲奈さんは綺麗な人だった。
豪快でゴージャス美人の玲奈さん。
大学時代に誰もが認めるクィーンだった人。
今は日下先輩の奥さんで二児の母。
「玲奈さん…。」
「そう玲奈さん…。」
「玲奈さんが好きやったんか?」
「違う…、美人やと思うた人が玲奈さんや。萌奈は整形しとるやんけ。」
「はぁ?」
「萌奈は歯並びは強制やし髪もパーマで強制してエクステで誤魔化してる。鼻の骨なんか明らかに人工物が入ってますってわかるし、全面整形で作った能面みたいな女やんけ。」
「嘘っ!?」
「玲奈さんは人工物無しの正真正銘のナチュラル美人なんやから、当然、玲奈さんのが美人や思う。」
何故か勝ち誇った顔で悠真が言う。
いや、その玲奈さんは今や人妻やからな…。
「ならさ、クリスマスに連れてってくれた美容室のお姉さんは?あの人もめっちゃ美人やったやん。」
「あれは美男と言うんや。」
「………、男っ!?」
「あいつ、綺麗やろ?因みにあいつも整形無しの美男やぞ。」
そうこう言うてるうちに普通に私の身体を洗い終わり湯船の中へと放り込まれる。